go the distance

研究と教育に関するあれこれ。

博士の意味

以前、姪っ子から突然、

「ねえ、みおちゃんってはかせなんでしょ? はかせって何でも知ってるの?」
と、電話がかかってきた。

それに対して私は、
「何でも知ってるわけじゃないよ。すごく狭い範囲のことでも、知らないことがいっぱいあるってことは知ってるけどね。」
と答えたら、姪っ子はとても不思議そうにしていた。

勉強不足な博士のわかりにくい回答で、姪っ子には申し訳ないことをした。でも、これが私の実感。

この電話のことがずっとひっかかっていた。私がとった学位って何なんだろう。明快な説明を読んでみたかった。そしたら、最近読んだ本に「学位としての博士の意味」が書かれていた。以下引用。

 

博士とは、その分野の知識を現在の知識の限界まで駆使できる能力があり、しかもその限界を越える能力があるということである。=「プロの研究者」(「博士号への道」p.73)

以前TwitterFacebookで話題になっていたこの図とも一致する(日本語訳はこちら)。

 

プロの研究者とは、自分で研究課題を開拓し、必要な技術を習得して、適切に利用し、発見したことを強調して伝えるといったことができる人のことである。(同 p.73)

「強調して」の意味がよくわからない。「正確に」でもいいんじゃないかな。

 

プロの研究者になるということは、

  • 最も基本的には、あなたが、あなたの同僚の研究者が耳を傾けたくなるようなことを言えることを意味しています。
  • 他の研究者の研究の価値を評価できるように、あなたの研究分野で起きていることについて自在に知識を駆使できる必要があります。
  • あなたは、あなたが有益な貢献をなしうる分野がどこであるかを見抜く洞察力を持っていなければなりません。
  • あなたは、現在用いられている適正な研究技術に精通し、その限界についても知っている必要があります。
  • 他のプロの研究者の活躍の場で、自分の研究結果を効果的に発表する能力が必要とされます。
  • これまでに述べたことはすべて、国際的な意味において実行されなければなりません。あなたが所属することになるプロの研究者集団は、世界的な規模です。現在、世界中の学会で発見され、議論され、書かれ、発表されていることについて知っていなければなりません。(同 p.65)

 

うーん。私は、プロの研究者の条件、全然満たせていないなあ。
特に最後の項目は、まだまだ要努力。

 

「博士号への道」は、英国の大学でPhDを取るための指南書。単なるハウツーではなく、研究とは、学位を取ることの意味とは、といったところまで語ってくれていて、うんうん、そうなんだよねと頷きながら読んだ。筆者の経験談の部分は、スリリングな冒険物語を読むような感じ。ハウツーの部分は、今では少し古い情報になってしまっているけれど、基本的で重要な部分をしっかり押さえてくれているので、まだまだ役立つ部分は多そう。いつか海外の大学で学位を! と思っている人のよき伴走者になってくれそうな本。

博士号への道―海外で学位をとるために

博士号への道―海外で学位をとるために